電車の英語に関する広告、書店の豊富な英語コーナー、義務教育における英語カリキュラムの前倒しー。
こうした私たちを取りまく英語関係の試みはみな、「英語が話せるようになりたい」という、日本人の共通する願いの表れともいえるのではないでしょうか。
しかし、そんな願望に対し、実際に「話せる」ようになる人はごく一部であることもまた現実です。
英語力の水準を測るスイスのEFという機関によれば、2024年の日本人の英語力は世界92位です。なぜ日本人は、これほどまでに「英語を話せない」のでしょうか。
一方で、私は実際に「外国語を話せる」ようになる人も多数見てきました。アカデミア、ビジネス、趣味であろうと、国際水準で「話せる」人たちは、確かに一定数存在しているのです。
私自身もポーランドやロシアを主戦場として、英語含む諸言語を学んできました。文学にせよ教育学にせよ、「外国」を土俵とする盟友らもまた、前提となる語学力を、みな確実に身に着けていました。
外資マーケター時代の同僚も、ビジネス英語を「話せる」人々でした。
このように「話せる」ようになる人々は確実に存在していて、彼らには明確な共通点が存在しているのです。
しかも、こうした人々は、多言語を操れるマルチリンガルであることも多いです。
実は多言語話者には、ひとつ外国語を学ぶと、次の外国語の学習が非常に簡単になるという現象が起きていています。外国語学習において知っておくべき「考え方」と必要な「方法」が分かっていることで、次なる言語学習にそのまま応用ができるから、彼らは次々に言語を習得してしまうのです。
これは言い換えれば、外国語習得にあたっては、共通して必要な「考え方」と「方法」が存在していて、それらをたどれば外国語が習得できるということです。
このように、確実に「英語を話せる」ようになるための「再現性」のある方法とは何なのか、以下検証していきます。
「話せる」を叶えるのに必要なものは本当は何か、どうすればそれらがクリアできるのかということを、以下の複数の学術的観点を中心に、「巷で言われる英語が話せるための諸説」と、「マルチリンガルが実践している本当に効果のある方法」に対し、それぞれ裏付けし、必要事項を整理します。
- 言語学
- 第二言語習得論
- 音声学
- 生物学による記憶のしくみ
- 1.「英会話に通う」だけでは「話せない」理由
- 2.「現地に住む、行く」でも「話せない」理由
- 3.「ネイティブの子どものように学ぶ」の決定的な罠
- 4.「聞き流し」の効果はあるのか
- 5.洋楽・洋画の功罪とCAが英語を話せる本当の理由
- 6.識字率にみる「会話」の本質とアプリの関係
Ⅱ.【多言語話者は全員知っている】英会話学習で必要な「考え方」5選
Ⅲ.多言語話者シュリーマンに学ぶ、「話せる」を叶える絶対4箇条&必須10項目
Ⅰ.世間に通底する「○○をすれば話せる」の学術的検証
「英語を話せる」を叶えるものとして、先述の項目のような例を、一度は耳にしたことがあると思います。しかし、これらはやれば必ずできるようになるものなのでしょうか。たしかにある人は、「英会話」で本当にマスターしたかもしれません。TEDやHello Talkで覚えた人もいるかもしれません。しかし、上記の方法で叶えられていない人も存在している以上、それは万人に開かれた再現性のある方法とはいえません。
一方で、こうしたアクションの中でも英語話者となることができた人が一定数いることは、それらにクリアすべき要素が存在していることの裏返しでもあります。上記のアクションを実際に行うにあたっては、明確に「話せる」ようになる人と、そうではない人に分かれてくるものです。そして両者の間の決定的な違いには、英会話習得への普遍的なキーエッセンスが詰まっているのです。
このような考えのもと、学術的な側面から多角的に「英語を話せる」ための要素を検証するのが本章の狙いです。
1.「英会話に通う」だけでは「話せない」理由
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