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家庭教師をしているときのことです。
高校生の生徒のひとりは、中学から英語がずっと赤点でした。しかし、わずか半年で学年2位になり、1年後には英検準2級を内緒で取ってきてくれました。
「できる」ために必要なことは、決まっています。この方の場合、やる気はありました。しかし、適切な勉強の方法と道筋が全く分かっていませんでした。
やる意欲がないことに原因がある場合もあれば、勉強の順序に問題がある場合もあります。やる気ひとつとっても、「覚え方が分からないから」、「純粋に関心に合わないから」、など意欲が上がらない理由は様々です。
しかしどのような場合でも、勉強ができるようになるためには、3つの要素をそろえておけば十分です。
それは、「記憶術」、「ブースト」、「地図」です。

正しい覚え方を知り、正しい順序で実際に使っていくことが重要なのです。
現在地とゴールが人それぞれでも、この3要素を押さえていれば、必ずゴールへと進むことができます。
では、それぞれ見ていきましょう。
1.記憶術

学ぶこととは第一に、「覚える」ことです。
これは学校の勉強に限りません。ゲームのやり方、スポーツのやり方、楽器の演奏方法、絵や書道でも、バイトでも、仕事でも、絶対に避けては通れないものです。
人は何かを学ぶとき、必ず覚えなければなりません。
これから先は、「学校」での勉強を例に話を進めますが、「中高の勉強」と大学生や社会人、予備校での「勉強」は根本的に通じています。中高生は、この「勉強法」を一生の道具にしていただき、大人の方も「勉強」とは何か?改めて捉えなおしていただければ幸いです。
さて、何かを「覚える」ことには、「ゼロ状態から覚える」ことと、「間違って覚えている」状態から、新たに「覚える」に変えていく場合があります。
これらを通じて、「できる」の総数を積み上げていく、それが勉強です。
そんなことを言われても、「覚え方」も分からないし、覚える量も多すぎると思うかもしれません。
しかし、学校の勉強で必要な「できる」の数は、実はかなり限られています。さらに「覚える」ことは、まったく難しいことではありません。
考えてみてください。
あなたは日本語などの何万もの知識を、机に向かうことなく覚えていませんか…?
そう、本当は簡単なことなのです。
だから、「覚える」方法さえ知ってしまえば、それだけでも学校の勉強はほぼクリアできてしまうのです。
改めて、「覚える」には①<ゼロ→新しい知識>と②<まちがった知識→新しい知識>があります。
あなたも科学的で確実な「覚え方」で、「できる」をどんどん増やしていきましょう。
それでは、2つの「覚える」を具体的に見ていきます。
①新しく覚える
学校のカリキュラムでは、「覚える」部分が圧倒的に多いです。また、覚えることはすべての学びにおける基本です。なので、ここを最初に攻略しましょう。
「覚え方」の教科書は、学校にはありません。先生は「覚え方」のプロでもありません。
そこで、あなたに1番熱意を込めてお伝えしたいのが、嫌でも頭に残る「覚え方」です。
記憶のしくみは研究が進んでいて、どのように記憶されていくかが分かっています。
本当は簡単です。
あなたがもし「覚えられない」のなら、それは記憶力の問題ではありません。記憶の原理に沿っていなかっただけです。
改めて、とてつもない量の物事をあなたは自然に覚えました。
いま使っている日本語の数々、いつもの道順のこと、周りの人の色々なこと、好きなもののこと、あの日の思い出…。
覚えようとしなくても覚えられたことには、実は明確な科学的根拠があります。
学校の勉強内容でも、この原理に沿うことが大事です。そうすれば、勉強はかなり楽になるはずです。
それどころか、一生「覚え方」には困らなくなるでしょう。
②「できない」を「できる」にしていく
学校で必要な「できる」の数は実はそこまで多くありません。
そこに正しい「覚え方」を使えば、あなたも相当な範囲をカバーしていくこととなるでしょう。
とはいえ、足りない部分は出てきてしまうものです。それらが明らかになる部分が、テストなどでの「間違い」です。
仮にあなたが30点を取ったとしたら、こう考えてください。残りの70点は宝の山で、100点までの「目に見える」伸びしろだと…。
この70点を「できる」に変えることこそ、2つ目の「覚える」が関わるところです。
反対に、失点部分をそのままにしておくと、どこかで同じ問題が出てきても、同じように失点してしまいます。
知らない間にできるようになることも、残念ながらありません。
だから、「ミス部分」は必ず「できる」に変えておく必要があります。
でも、あまり皆やらないのです。正しい方法を知らない場合も多いかもしれません。だからこそ、とても差がつくところなのです。
しかし、ここには思わぬ落とし穴が隠れています。
…。
それは、「できない」ものは一度「わかった」と思っても、同じようにミスを繰り返しやすい、ということです。あなたも次のような言葉を聞いたことがあるかもしれません。
「人は同じ過ちを繰り返す」、「人は変われない」…。
実は、人とはそういうものなのです。
あなたも一度は「分かった」と思ったのに、どういうわけか同じように間違えてしまった経験があるのではないでしょうか。
これは、科学的には以下のように説明されます。
人には思考のクセが備わっていて、そのクセ通りに物事をとらえるという働きが存在しています。これは「バイアス」とも言われます。
さらに、三日坊主という言葉があるように、新しいことをしようとしても続かないものなのです。これは「習慣」の性質が、人に備わっているためです。
だから、一度「こうだ」と思った考え方を「変えた」と思っても、すぐ元に戻ってまた間違えてしまうのです。
…どうでしょうか。
なかなか変えたいものが変えられない理由も少し感じられたのではないでしょうか。
でも、問題はありません。
これも実証されている方法で乗り越えることができます。
意外と誰もやらなくて、意外と難しい部分だからこそ、あなたにとって大きな大きなチャンスなんです!
2.ブースト~「できる」を増やす作業を実際行っていくために~
さて、あなたもこれで「できる」の総数を増やすための、「覚え方」という大きな武器を手にしました。

次は、それらを実際に「やる」という作業が必要です。
しかし実際に「やる」という行動をするのも、なかなか難しいものです。
不安にもなります。自信が持てない時もあるでしょう。
いくら車の運転方法がわかっても、実際に運転しないことには意味がありません。そこで、今度はエンジンにガソリンを入れましょう。
車の運転のように、「覚え方」を知ったら「ブースト」を使い、「地図」通りに進むことが大事です。
そうすれば、必ず目標に必要な「できる」の総数に達することができるでしょう。
③実際にやるための3ブーストについて
- 1「意欲」ブースト
- 2「自動」ブースト
- 3「効率」ブースト
実際の勉強の進め方について、色々なところでなんとなく、「ああすれば良い、こうすればできる」などと言われています。
でも、本当に大事なことは、この3種類に分けられます。
「意欲ブースト」は、「やる気」を高めるためのブーストです。
人間、やりたくないものをやるくらいなら、好きなことをしていたいものです。出来ないかもしれないものに、時間なんて使いたくもないでしょう。
そんな中で「やる」ためには、やるメリットもやる理由も、やるエネルギーも必要です。それらをまとめたものが「意欲」ブーストです。
これらを使って、「やる」を後押ししていきましょう。
<意欲ブースト10>
- 学ぶメリットを知る
- どの科目もあなたに関係が深いことを知る
- 夢や他者のために勉強する
- 勉強したら好きなお菓子を食べる、好きなゲームをするなどのご褒美を作る
- 大きな目標を立て、紙に書いておく
- それに対して必要なことを小さく分けて書き出す
- 勉強時間や勉強内容などの記録をとり、成長や目標への過程を「見える化」する
- 「分からない」「ミス」のリストを作り、「できる」への成長を「見える化」する
- 「できる」ことで叶う未来の自分をイメージする/紙に書く
- 「できない」「無理」という意識を「できる」「達成できる」に変える
次に「自動ブースト」です。
これは、歯みがき、シャワー、犬の散歩のように、習慣になっているもののストレスが少ないことを活かします。「勝手にやる」「自動的にやる」ような「仕組み」を勉強にも作ってしまい、面倒な作業を楽にやってしまおうというブーストです。
<自動ブースト10>
- すでに習慣となっているものの後に「習慣にしたい作業」を「ついでに」やる
- ゲームやSNSチェックなどを、めんどうな作業のスイッチにする
- 5秒数えたら/椅子に座ったら教科書を開くなどのルールで自分に指令する
- 「10秒やる」でも「教科書を開く」でもいいので「小さく」続ける
- 習慣化の常識では「毎日やる」方が圧倒的に楽
- とりあえず「やると決める」だけでいい
- 最悪やったフリもアリ、休んでもまた続けていく
- ログボのようにゲーム化する
- ノート等にTo Do リストを作り、チェックをつけていく
- 記録を続けてコレクション化し、意欲に変える
最後は「効率ブースト」です。
これは、実際に「やる」作業の効果を最大限に引き出すためのものです。せっかく同じ1時間やるのなら、50の成果より100の成果のほうがよいという方におすすめです。
<効率ブースト10>
- あなたの睡眠に適した時間を知る
- あなたの勉強に適した時間を活かす
- 偽物でもいいので観葉植物をおくと集中力があがる
- スマホは近くにあっても集中力が大幅に低下する
- カフェ?図書館?自室?リビング?自習室?最適な環境を選ぶ
- 立って/歩いて/刺激を加えて勉強する
- アンダーライン?ノートにまとめる?自分で整理し記憶の原理を活かす
- BGMは歌詞のないものにする
- スクワット・ストレッチを勉強前と勉強中にする
- 誰かに教えるつもりで「模擬授業」をする
「科目ごとの適切な順序をたどる」ことや「試験・参考書の活用の方法を知る」ことも、たしかに効率に関わる部分です。しかしここでは、記憶の原理的に、脳への作用を強める部分を選びました。
さて、あなたの性格が他の人とは違うように、頭の使い方も人それぞれだと言いましたね。
しかしあなたの特性というのは、それだけではありません。
例えば、睡眠と勉強に適した時間もまた、人によって変わるものです。
個人に適した睡眠タイプはクロノタイプと呼ばれていて、あなたのタイプもこちらで診断することができます。
朝型や夜型だけでなく、「ライオン型」「クマ型」「オオカミ型」「イルカ型」の4種のいずれかに、あなたも該当するはずです。
これを知ることで、あなたにとって効率的な生活習慣が詳しく分かり、科学的に勉強に適した時間も知ることができるでしょう。
さて、あなたは科学的で絶対確実な「覚え方」を知り、実際に最大限「やる」ためのブーストを知りました。
そうしたら、右利きの人が左手でお椀を持ち、右手で箸を使うように、次はあなたの特性を勉強でも存分に活かせるようにすることです。
例えば、上記のブーストもまた、合う場合や合わない場合があるものです。
何しろ、眠れない時に羊を数える数え方ですら、10人中5人はあなたのやり方と違っているのですから。
そこで、MBTIや脳タイプを知り、あなたにぴったりの勉強法で進められるようにしましょう。
3.地図~目標への道順をたどる

最後は、それぞれの科目や試験に沿って、ガイドの順番通りに「記憶法」と「ブースト」を使いながら進むだけです。その先の未来には、あなたの「やりたい」が叶っているあなたの姿があるはずです。
最後にちょっとクイズです。
1キロを速く走りたい人が2人いるとします。2人とも同じような体系、素質だとして、練習と本番での違いを想像してみてください。
Aさん
- 練習は走りたい時に、ただやみくもに走る
- 本番は行く先を決めずに、知らない道を1キロ走る
Bさん
- 自分の特徴と、自分に合う適切な練習法を知ったうえで、目標タイムを決めて習慣的に練習をする
- よく知っているコースで1キロを走る
もちろん、Bさんの方が良い結果がでるでしょう。
このように、物事には適切な順序と方法があるもので、それは勉強も同じです。
私たちのカリキュラムでは暗記がメインで、何事においても「覚える」という作業は絶対必要です。
改めて、まずは「覚え方」を重点的に知りましょう。それから3つのブーストを適正に合わせて効果的に使いましょう。あとは、科目ごとに適切な順を追って進めるだけです。
このように進んでいると、気付けばあなたの世界は変わっているはずです。
あなたのペースで「できる」を増やし、あなたの望む姿になっていくことを、私は心より願っています。
